モンゴル代表の足下を支えた
関西スポーツ店とモンゴルリーガーの奮闘

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki

 はたして、その心配は杞憂に終わった。10月10日、ウォーミングアップに登場した選手たちの足下は、アシックスで統一されていた。トゥルバド・ダギナーが「今日のウォーミングアップでは、足に馴染み足りない選手も、みんなでアシックスのスパイクを着用しよう」と声をかけてくれたのだ(試合では、スタメン11人中8人の選手がアシックスを着用)。

アシックスのスパイクで日本代表と戦ったモンゴル代表 photo by Matsuoka Kenzaburoアシックスのスパイクで日本代表と戦ったモンゴル代表 photo by Matsuoka Kenzaburo 試合は日本がボールを圧倒的に支配し、モンゴルが耐える展開となった。日本は前半に4ゴールを挙げると、後半も2ゴールを奪って勝利。格の違いを見せつけた。

 試合後、トゥルバド・ダギナーは「この試合は我々にとって、アジアの、世界のトップレベルのチームと対戦する初めての機会でした。スピード、テクニック、フィジカルのどれをとっても最高峰で、このような強いチームと試合をする機会を得ることができたのは、幸せなことでした」と語り、こう続けた。

「アシックス、モリヤマスポーツ、(ソックスを無償提供してくれた)株式会社Naocastle ジオカグリップスの皆さん。モンゴル代表チームへの支援をありがとうございました。アシックスのスパイクは快適で、どのポジションの選手でも問題なく履くことができました。私たちは、今後もアシックスのスパイクとともに戦っていきます」

 渡邉は「モンゴル代表の選手が、こうしたサポートを受けるのは初めてだと聞きます。それは、彼らがW杯の2次予選に進んだからこそ得たものです」と、充実した面持ちで振り返った。

「じつは、僕がモンゴルでプレーをすることを決めてウランバートル国際空港に到着した時に、モンゴルが日本と対戦することが決まりました。この偶然に『何かアクションを起こせ』と言われたように感じました。そんな想いが、埼玉スタジアムというすばらしい場所で結実したのはとてもうれしいです」 

 日本対モンゴルが行なわれた日、日本サッカー協会とモンゴルサッカー協会が、パートナーシップ協定を再締結することが決まった。国のサッカーを司る機関と渡邉たちのような民間の両方で、サッカーを通じた国際交流が続くことは、双方の大きな刺激になるだろう。サッカーには、スポーツには、大きな力と可能性がある。それを感じさせた、今回のプロジェクトだった。

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