「イケるやん」稲本潤一はロシアW杯を見て
1999年の快挙を思い出した
無料会員限定記事
世界2位の快挙から20年......
今だから語る「黄金世代」の実態
第14回:稲本潤一(3)
1999年ワールドユース(現U-20W杯)のあと、稲本潤一は日本代表の中心選手となり、日本サッカー界の表舞台を駆け抜けていった。2000年シドニー五輪、2002年日韓共催W杯、2006年ドイツW杯、2010年南アフリカW杯......。
そんな稲本が、昨年開催されたロシアW杯における日本代表の戦いを見て、20年前のナイジェリアでのことをふと思い出したという。
ロシアW杯における日本の快進撃を見て、20年前の快挙を思い出したという稲本潤一「実際に行っていないのでわからないけど、(チームの)ムードは1999年の時(のチーム)と『似ているんちゃうかな』って思いました。プレーしている選手も、ベンチの選手も表情が明るかったし、試合ではみんな、気持ちが出ていたんでね。
それに、監督の西野(朗)さんがすごいなって思った。(グループリーグ最後の)ポーランド戦で主力選手を休ませて、試合の終盤はボールを回す"賭け"に出た。そんな一か八かの勝負に出て勝ったからね。
(20年前の)ナイジェリアの時のチームは『まだイケるやん』という可能性を感じることができたけど、(ロシアW杯の)西野さんのチームも(決勝トーナメント1回戦の)ベルギー戦の戦いを見て『まだイケる』と思ったし、すごい可能性を感じさせるチームやったと思う」
日本代表はまだ、W杯ベスト16の壁を超えていない。男子のサッカーでは、2001年コンフェデレーションズカップで決勝進出を果たしているが、「W杯」と名の付く大会では、世代別の大会を含めて1999年ワールドユース準優勝が最高位になっている。もう20年も記録が破られていないのだ。
その間、「黄金世代を超えるだろう」と言われた"プラチナ世代"などもあったが、実際には世界大会で結果を残せず、その世代の選手の多くがほとんどブレイクせずに終わっている。選手の質、量ともに「黄金世代」を超える世代は、まだ生まれていない。
そのことを、稲本はどう考えているのだろうか。
「今の選手のほうが、個の質も、経験値も間違いなく高いと思うんですよ。俺らの時は(大阪のチームなら)大阪と関西にあるチームとしか試合ができんかったけど、今は(全国レベルの)プレミアリーグとかあって、いろいろなチームと試合ができている。海外にも結構行っているしね。ただ、今の指導方法とか見ていると、『ほんまにこれでええんか』っていうのはあります」
そう言って、稲本は苦笑した。
1 / 4