トゥーロン国際決勝進出。U22代表で見る森保式3バックと日本の相性 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by MEXSPORT/AFLO

 後ろに人が多く、サイドの人数が減り、真ん中の高めの位置に人が増えた。サイド攻撃を重視しない布陣。森保式3バックの特徴をひと言で言えばそうなる。

 この日、サイドアタッカーとして出場したのは川井歩(右・レノファ山口)と相馬勇紀(左・名古屋グランパス)。この両ウイングバックは両サイドで1対2の状況にあった。メキシコの布陣は4-1-4-1的な4-3-3で、サイドアタッカーは各2人だった。

 サイドはピッチの廊下と言われる。中央に比べ、相手のプレッシャーは片側からしか掛からない。中央に比べ、前進しやすい環境にある。そこで1対2の関係を築かれれば、サイド攻撃は自ずと停滞する。逆に相手の侵入を許すことになる。これはプレッシングサッカーか、後ろで守るサッカーかの分水嶺とも言うべき重要なポイントになる。

 2シャドーの神谷優太(愛媛FC)と岩崎悠人(北海道コンサドーレ札幌)が左右に開いて3-4-3的になれば、この問題は解消されるが、日本は3-4-2-1に固執した。両ウイングバックは数的不利な状況に追い込まれているので、時間の経過とともに疲弊する。サイドにおける上下動は次第に鈍るものだ。

 しかし、左の相馬は頑張った。単独で期待以上のプレーを見せた。比較的高い位置を維持し、縦への推進力を発揮した。0-1から1-1に追いつくゴールもマークしている。讃えられるべき一番の選手だと言える。とは言え、この活躍を毎試合臨むのは酷な話だ。例外的なケースと捉えるべきなのだ。

 先述の通り、サイドアタッカーが各1人減った分、その2人の余剰分はセンターバックとトップ下周辺に回る。真ん中に人が多くなったわけだ。自ずとボールを奪われる位置も真ん中が多くなる。

 四方からプレッシャーを浴びるので、真ん中はパス回しの難易度が高い。奪われる位置として好ましい場所ではない。サイドに比べて自陣ゴールまでの距離が近い上に、逆モーションになりやすい。複数の選手が置き去りにされる可能性が高い。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る