久保建英が衝撃デビュー。代表でも
技術と賢さで観客&先輩を魅了した
その瞬間は、思いのほか早くやってきた――。
ひとめぼれスタジアム宮城にエルサルバドルを迎えた国際親善マッチ。森保一監督は起用に慎重な姿勢を見せていただけに、もしピッチに送り込むのであれば、おおよそ大勢が決した後の残り10分程度と予想していたからだ。
18歳の久保建英がついに代表デビューを果たした しかし、観衆が沸いたのは67分のこと。前日に「デビューの可能性はある」と名言していた指揮官は、久保建英(FC東京)に23分のプレー時間を与えた。
「ポジションのことを言っただけです。思い切ってプレーしてほしいなという思いはありました」
森保監督は交代シーンを振り返る。一方で久保は、「前向きな言葉をかけてもらったので、入る時の助けになりました」と、指揮官の言葉に勇気をもらったと明かした。
すでにJ1の舞台で堂々たるプレーを見せ、アンダー世代の代表では世界大会も経験している。とはいえ、やはりA代表の舞台は格別なのだろう。ポーカーフェイスの裏には、人知れず緊張感があったことがうかがい知れる。
南野拓実(ザルツブルク)との交代でピッチに立った久保は、そのままトップ下の位置に入った。
所属のFC東京では右サイドでプレーする機会がほとんどだが、「トップ下は結構やりやすいので、とくに問題はなかったです」と、ポジションについて特別な言及はなかった。ただし、「これだけうまい選手が集まれば、ひとりくらい入っても、別に違和感なくやれるだろうなって思っていた」という、いい意味での開き直りが、デビュー戦での躍動を生み出した。
出場直後、ファーストタッチの場面が訪れる。くさびを正確に足もとに収め、シンプルに近くの味方にパスを配給する。何の変哲もないシーンだったが、久保にとってはこの普通のプレーが大きかった。
「最初のワンタッチ目を失敗したら、(その後のプレーに)響くぞと思っていましたけど、そこからはとくに問題なかったです」
最初のハードルをクリアした久保は、J1の舞台で披露している"普段と変わらないプレー"を、まざまざと見せつけていった。
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