2019.04.14

トルシエのモノマネも。20年前、
加地亮の行動はすべてチームのために

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

「妥当やなって思っていた。だって、チームでは俺が一番ヘタやと思っていたからね。それで(同じ控えの)バン(播戸竜二)とウジくん(氏家英行)らとわちゃわちゃやって、(チームのために自分が)できることをやろうと思っていた」

 とはいえ、20歳前後の若い選手の集まりである。しかも、年代別ながら日本代表に選出されるほどの選手たちである。高校時代は誰もがチームのエースであり、所属のJクラブですでに試合に出ている選手もいた。

 いわば"エリート集団"である。それほどの面々が試合に出られない状況を受け入れることは簡単なことではないが、加地はその状況に納得していた。自分の実力がレギュラーになるには足りないと自覚し、チームが勝つためにできるだけの「サポートをしよう」と決めた。

「う~ん......まあ本音を言えば、そりゃ試合に出たいし、試合前のメンバー発表直前までは、試合に出ることを狙うよ。でも、先発が発表されたら、あとはもう『がんばってくれ』という気持ちになった。同世代やけど、(小野)伸二とかは別格やし、俺らのことなど気にせず『どうぞ、どうぞ』って思っていたね。

 バンとかは試合に出たいと思っていたはずやけど、それを表に出すことはなかった。自分の立場をわきまえて、チームのサポート役に徹していた。みんな、各々の考えをしっかり持っている"大人の集まり"やったと思う」

「サブ組」の献身的なサポートは、レギュラー組の胸を打った。キャプテンの小野は「あいつらがこれだけやってくれているんだから」と感じ入り、「絶対に負けられない」と思ってプレーしていたという。

チームのサポート役に徹し、日本の躍進に貢献した加地。photo by Yanagawa Go