2019.03.08

小野伸二が語る1999年ワールドユース
準優勝「自分たちが歴史を作る」

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 試合後、小野は「(試合に)勝ててよかったです。でも、自分の仕事はさっぱり......。交代させられて当然。決定的なシュートを外して、気分的に滅入って(プレーが)消極的になってしまった」と、モヤモヤした心境を語った。

 続くイングランド戦も、アメリカ戦の勝利で勢いに乗る日本が試合の主導権を握った。そして、途中出場の石川竜也が鮮やかなFKを決めるなどして、2-0と勝利。日本はグループリーグの1位通過を決めた。

 小野はホッとした表情を見せていたが、「もうひとつ乗り切れない」と、自分のプレーに関しては少しイライラしていた。

 もちろん誰ひとりとして、小野のことをあれこれ言う選手はいなかったのだが、それでも小野は自分に厳しかった。チームの"エース"であり、キャプテンでもありながら、自分本来のプレーができず、チームの勝利に貢献できていないことが、小野には心苦しかったのだ。

 小野がこのチームのキャプテンに指名されたのは、大会直前だった。

「(事前合宿となる2月の)ブルキナファソ遠征では、イナ(稲本潤一)がキャプテンだったので、(本番でも)そのままいくだろうと思っていたら、イナが大会直前に負傷。すべての試合に出るのが難しい状況になったので、それで自分がキャプテンを任されたと思う」

 ワールドユースの前年、1998年に浦和レッズ入りすると、小野は高卒ルーキーながら、いきなりレギュラーの座を獲得。W杯フランス大会のメンバー入りも果たした。同大会のジャマイカ戦に出場し、18歳にしてW杯の舞台に立った。

 技術は日本トップクラスであり、人格者であり、チームの細かいところにまで目が行き届く。試合になれば、攻撃だけではなく、守備のために自陣深くまで戻った。"天才"がそこまでする姿に、チームメイトは心揺さぶられ、自らが持っている以上の力を発揮する。

 まさにチームの中で、小野は突出した存在だった。誰もが一目置いていて、キャプテンは小野以外には考えられなかった。