小野伸二が語る1999年ワールドユース準優勝「自分たちが歴史を作る」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

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 負けてもなお、自信を持てるということは、なかなかないことだ。

 国際大会で初戦を失うと、精神的に追い込まれることが多く、巻き返すことは容易ではなくなる。それは、日本が出場したW杯ドイツ大会(2006年)、W杯ブラジル大会(2014年)でも見られたシーンである。

 だが、小野は当時も「自信を失う必要はないですよ。いいリズムで戦っていたし、ミスで負けたことで、1点の重みを全員が理解すれば、同じミスはしないでしょう」と言って、試合後に笑顔さえ浮かべていた。

 その自信はどこからくるのか――。

 このワールドユースに臨んだ面々はその多くが、小学生や中学生の頃から都道府県のトレセンや世代別の代表で一緒にプレーし、お互いの性格やプレーなどを熟知していた。さらに同世代は、1994年U-16アジアユース選手権で優勝。1995年Uー17世界選手権(現U-17W杯)・エクアドル大会に出場し、世界レベルも肌で感じていた。他にも、海外遠征などを通じて、多くの経験を共有し、ともに成長してきたのだ。

「もう昔から一緒にやってきたメンバーだったので、プレーで言えば"あうんの呼吸"で、とくに話をせずともやれていた。この大会のときも、特別な話はしていない。

 また、A代表だと、世代も違うし、いろいろなサッカー観を持っている人がいるので、まとまるのがなかなか大変だけど、僕らは同世代だし、みんなが同じ感性でサッカーをやっていて、本当に楽しかった。僕は、それが一番大事なことだと思うし、だからこそ、"イケる"という手応えを感じていたんだと思います」

 小野の言葉どおり、2戦目のアメリカ戦では、日本はオウンゴールを含めて3得点を奪取。絶対に負けられない試合で、3-1と快勝した。

 ただこの試合で、チームを率いるフィリップ・トルシエ監督から、小野は後半途中に交代を命じられている。小野はピッチを去ると、厳しい表情のままロッカールームに直行した。

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