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阪口夢穂はなでしこの心臓部。
ケガから復帰→W杯まで試合勘を戻せるか (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「いろんなポジションをできたり、メンタル的な部分でチームを支える選手であったり、グランドで力を発揮する選手だけではなく、戦う集団として責任と誇りをもって戦える23人を選びたい」という指揮官の心情は当然阪口にも痛いほど伝わっている。

「若い選手たちのプレーは本当におもしろい。ここまで、『もういいや』って思う時期はいっぱいありました。何回もあったんです。でも、ここから可能性を追える彼女たちに比べたら私に残された先って絶対に短いじゃないですか。だから、できることは全部やりたいんです。諦めずに」

"諦めずに"――阪口の口からめったに出ることのないこの言葉に衝撃を受けた。指揮官や周りの選手の意図を最優先に考え、周りを生かすための最高のパフォーマンスを見せる。それが阪口の美学であり、色である。

 時折彼女は自分を"黒子"と表現するが、それだけにとどまらない力がダダ漏れだ。あまたの選手を生かしてきた阪口を生かすことができる若手が出てこないものか。彼女の想像をはるかに超えたパスに驚きつつも「私も生かされる立場になったか」と笑いながら、諦めずにそのボールを追う阪口の姿が見てみたい。それが、"強いなでしこジャパン"の最強かつ最高のレシピな気がする。

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