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イラン戦は森保Jのベストマッチ。スコアとは裏腹な内容を検証した (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 また、サイドからのクロスは8分に右から酒井が入れたものと(ミスキックで誰にも合わず)、前述した13分の長友のクロスの計2本。日本のペースで試合が進んでいた割にはイランを攻め立てた形跡はなく、逆に言えばイランが日本の攻撃をしっかり受け止め、チャンスを作らせないためのいい守備ができていたと言える。

 そんな試合の流れを変えたのが、22分のワンプレーだった。GK権田修一(ポルティモネンセ)のパスミスに端を発したこの試合最初の大ピンチにつながったシーンである。結局、この場面は権田が左足でシュートをブロックして自らのミスを帳消しにしたわけだが、このワンプレーを境に、試合のリズムはイランに傾くことになった。

 ただし、立場が入れ替わった後の約25分間で、イランが多くのチャンスを作ったわけでもなかった。ボールをつないで攻めるシーンも何度かあったが、基本的にはロングボール中心の攻撃が続き、それを日本が跳ね返すという展開が続いている。

 また、この試合では前半から両チームにファウルが多く、最終的にイランが18回、日本は19回を記録。それぞれのプレーが途切れ途切れで展開したことも、両チームの攻撃がうまく循環しなかった要因のひとつと考えられる。

 結局、その時間帯でイランが作ったチャンスは3度(27分、33分、43分)あったが、いずれもビッグチャンスと言えるものはなく、どの攻撃も単発に終わった。なぜイランがボールをつないで攻めなかったのかは定かではないが、いずれにしてもこの時間帯の日本は前からプレッシャーをかけるのではなく、しっかりとリトリートしたうえで相手の攻撃を跳ね返すという守備はできていた。

 両チーム無得点で終わった前半を客観的に振り返れば、お互い一歩も譲らない互角の内容だったと言える。つまり、前半の0-0というスコアは論理的だった。ところが後半は、非論理的な試合展開が待ち受け、それが勝負を決めることとなった。

 後半立ち上がりは、前半からの流れを継続するかたちでイラン優勢で推移した。前半から変化した点は、イランがボールをつないで攻めるようになり、ほぼ日本陣内で試合を進めていたこと。押し込まれる日本にとっては苦しい展開だった。

 そんななか、直接的ではないにせよ、イランの行方を左右するきっかけとなり得るひとつの出来事があった。それは、後半50分をすぎたあたりにイランベンチが動きを見せ、ジョーカーの10番(アンサリファルド)を投入する準備を整えながら、カルロス・ケイロス監督が悩んだ末に選手交代を取りやめたシーンである。また、54分にも10番をピッチサイドに呼んで細かな指示を与えながら、再びベンチに戻すという場面もあった。

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