2軍で1.5軍のウズベキスタンに勝利。森保采配にまだ太鼓判は押せない (4ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Sano Miki

 同点ゴールを決めた武藤も使える目処が立ったと言える。とりわけ後半になってからは、ライン間で青山からの縦パスを受け、しっかりと収めて次の展開につなげることもできていた。負傷中の大迫勇也(ブレーメン)のパフォーマンスが上がらなかった場合は、北川よりも武藤にチャンスが与えられる可能性は高い。

 残り15分は、押し込まれる日本が耐えしのぐ時間帯が続いた。この時間帯のウズベキスタンのボール支配率は72.7%。65分に負傷のハムダモフに代わって16番ツルグンボエフが起用されたのを皮切りに、76分までにウズベキスタンが交代枠3枚を使い切って反撃を開始したことが主な要因と考えられる。

 この時間帯で着目すべきは、就任以来、初めて森保監督が明確な意図を持って戦術的交代を行なったことだろう。

 その動きが遅すぎた感は否めないが、81分に疲労からミスが目立ち始めた乾に代えて原口元気(ハノーファー)を、85分に前線の武藤を下げて遠藤航(シント・トロイデン)をボランチに投入し、青山をトップ下に移した。その意図は、間違いなく試合終盤を守り切ることだ。また、アディショナルタイムには北川を下げて冨安健洋(シント・トロイデン)がピッチへ。相手のパワープレーやセットプレーに対する空中戦対策のカードを切っている。

 しかし、冒頭で触れたように、この試合が特別な条件下で行なわれたことを考慮すると、この一連の監督采配を評価するのは難しい。仮にレギュラー組が出場する試合で同じような場面を迎えたとき、森保監督がこのような戦術的交代策を決断できたかと言えば、怪しいところがあるからだ。サブ組の選手のクオリティをどのように評価しているかも含め、現時点ではまだ森保采配に太鼓判を押すことはできない。

 結局、監督采配も含めてこの試合で見えたポジティブな要素は、最初の2試合との関連性がないため、偶発的産物と言えなくもない。また、それらをラウンド16以降につなげられるかどうかも、現時点では未知数だ。

 アジアカップで優勝するためにはあと4試合勝たなくてはいけない。果たして、森保監督はサウジアラビア戦のスタメン編成でどのような決断を下すのか。

 指揮官に余裕はあるのか。代表監督としての資質が、これから試されようとしている。

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