不安材料が残ったオマーン戦。森保Jの攻撃が停滞した原因はひとつだけ (5ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Sano Miki

 そうしたサッカーになってしまった要因は、森保監督の消極的な采配だった。この試合で使った交代カードは2枚。まず56分という珍しく早い時間帯に動いた理由は、おそらく前半からまったくチャンスに絡めない北川に代えて武藤嘉紀(ニューカッスル)を投入することで攻撃を活性化させる狙いだったと思われる。

 しかし北川同様、チーム全体として武藤を生かす形を描けておらず、結果的にその交代策は奏功することがないまま時間が経過した。

 ところが、次に切った交代カードは試合終了間際の84分のこと。集中的にマークされて疲弊していた堂安を下げ、伊東純也(柏レイソル)をピッチに送り込んだわけだが、これはボールを奪った後に伊東を走らせてカウンターを狙うための策だったと思われる。

 しかし、日本のセンターバックが相手の2トップにプレッシャーをかけられて押し込まれるようになったその時間帯で必要とされた策は、守備の強化のための選手交代だ。伊東を入れるならもっと早い時間帯で投入すべきだったし、リードが1点しかないときの終盤に、柴崎に代えて塩谷司(アルアイン)もしくは青山敏弘(サンフレッチェ広島)を投入し、安全に試合を終わらせる手もあったはず。

 にもかかわらず、指揮官は選手交代によって守備が乱れることを恐れたのか、またしても交代枠を残したまま試合を終えている。これこそ、控え選手に対する信頼の低さの表れであり、監督采配で試合の流れを変えられないことの証でもある。

 グループ突破を決めたオマーン戦は、そこも含めて多くの不安材料を残した試合となった。とりわけ国内親善試合とは大きく異なるサッカーを見せ始めている現時点においては、主力がフレッシュな状態に戻ったとしても、決勝トーナメント以降の戦いに期待は持てない。

 次の試合で変化の兆しを見せられるか。大幅なメンバー変更が確実視される次のウズベキスタン戦の戦いぶりは、今後を占ううえでは見どころの多い試合となりそうだ。

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