森保Jに欠かせぬ32歳。
気負わない青山敏弘の「ベテラン力」 (3ページ目)
しかし、「そこに関しては、そこまで思い描いていなかったので、うまく切り替えられた」と、さほどダメージを感じていなかった。予想外だったのは、その後の日本代表に選出されたことだろう。すでに32歳。年齢を考えれば、そう思うのも当然だ。
「森保さんだから呼ばれている」
青山は、自身の立場を理解している。広島の黄金期を築いた指揮官が、当時のチームを支えたキーマンを加えたいと考えるのは、いたって自然の流れだった。
実際に、青山は初陣となった9月のコスタリカ戦でキャプテンマークを託され、10月シリーズでも2試合に出場。11月シリーズは負傷のため辞退したものの、ここまではコアメンバーとして森保ジャパンを支えている。
ただし青山は、自身の立場を「主力」とは捉えていない。たしかに現状では、柴崎岳(ヘタフェ)と遠藤航(シント・トロイデン)がボランチのファーストセットであるだろう。それでも、アジアカップに向けて青山には、ひとつのイメージがある。
「1カ月も続く大会なので、誰かに頼るだけじゃダメ。自分も含め、主力と言われていない選手たちが絶対にカギになってくると思う。そこのモチベーションだったり、パフォーマンスだったりを常に高められ続ける集団でありたい」
アジアカップに向けて行なわれた国内合宿では、チームの先頭に立って、メニューをこなす青山の姿があった。けっして周囲を鼓舞するようなキャラクターではない。黙々と、淡々と、そして100%の力でトレーニングに汗を流す。チーム最年長の32歳は、その姿、その背中で、若い選手たちに何かを伝えているように感じられた。
2014年のブラジルワールドカップ。青山はアジア最終予選を経験せず、直前でメンバーに加わった。その際には「まずは自身のプレーをみんなにわかってもらう必要がある」と、自己アピールに必死だった。しかし、立場も年齢も異なる今回は、そうした気負いがまるで感じられない。
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