ベネズエラ戦分析。中盤からの「縦パス」が森保Jのバロメーター (5ページ目)
基本システムは4-2-3-1であるにもかかわらず、攻撃時には4-2-2-2になってしまうため、どうしてもサイドで劣勢を強いられやすくなるうえ、サイド攻撃も機能しなくなってしまうからだ。ちなみにこの試合における日本のクロスは、右サイドの酒井は前後半に1本ずつの計2本。左の佐々木は、前半16分の1本のみだった。
堂安と中島はともに利き足とは逆のサイドでプレーするため、縦に突破してクロスを入れるプレーがほとんど期待できないことを考えると、サイドバックのクロスが唯一のサイド攻撃の武器となってしまうことは火を見るより明らかだ。そのサイドバックからのクロスがほとんどなければ、相手にとってはこれほど守りやすいことはない。
また、攻撃が大迫のポストプレー頼みになっていることも見落とせない課題だと言える。確かに大迫のポジショニングとボールを収める能力は秀でているため、そこを生かすのはチームとして当然ではある。しかし大迫を経由しないとチャンスを作れないとなると、相手にとっては対策を立てやすいサッカーになってしまう。
さらに言えば、大迫が欠場する場合、誰が縦パスのターゲットとなるのかという問題も浮上する。9月のコスタリカ戦では青山敏弘(サンフレッチェ広島)が頻繁に縦パスを入れたものの、そこからフィニッシュにつなげられたシーンは数えるほどしかなかったことを考えると、FWの駒不足という問題が一気に露呈する可能性は高い。
現状で言えば、おそらく大迫がいなければ可変式の3-4-2-1も実現不可能と見るのが妥当で、そこを含めて、本来ならばアジアカップ本番前に"プランB"を構築しておく必要があったと思われる。
森保監督のコメントからすると、20日のキルギス戦はベネズエラ戦の控えメンバーをベースに戦う可能性は高い。しかし、ベネズエラ戦で見えた多くの課題の修正を考えた場合、レギュラーメンバーで"プランB"をテストする必要もあるのではないだろうか。
いずれにしても、アジアカップまで残り1試合。しかも相手は格下のキルギスであるため、アジアカップ用の戦い方を実戦でテストする絶好の機会となるはずだ。
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