U-19代表は攻守の切り替えが強み。
タレント集団に脇の甘さはない (2ページ目)
日本はボールを失っても、すぐにそのボールに襲い掛かり、再奪取を図った。とくに前半の日本はこれを繰り返すことで、タイの選手たちを自陣にくぎ付けにし、ほとんどサッカーをさせなかった。石原はこう続ける。
「選手同士の距離感がすごくよかった。高い位置でボールを奪い返せるのが、一番ゴールに近い形になるので、これからの試合でも(攻守の)切り替えが大事になってくる」
この試合で日本が見せた、現代サッカーにおける不可欠な要素。それは、「すばやい攻守の切り替え」である。
A代表の森保一監督もチームコンセプトのひとつに掲げているように、現代サッカーにおいては、攻守の切り替えの巧拙が試合の趨勢(すうせい)を決めると言ってもいい。
だが、一般論で言えば、個人能力が高い選手ほど、これをおろそかにしがちな例は多い。テクニックに優れたドリブラーが、次々に相手選手をかわす一方で、ボールを奪われてしまうと、天を仰いで自分のプレーの余韻に浸り、奪われたボールを追おうともしない、といった具合だ。
ところが、このチームの選手たちは違う。
現在のU-19日本代表は、すでにJ1やJ2で出場機会をつかんでいる選手が数多く、稀に見るタレント世代との評価を受けながらも、"お山の大将"的な脇の甘さを感じさせない。チーム全体が足を止めずに連動し、すぐにボールを奪い返しにいく「攻から守への切り替え」は、特に徹底されている印象だ。
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