実は用意周到だった森保ジャパン。だが完勝は「いい船出」にすぎない (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 2014年ブラジルW杯で予備登録メンバーに入った南野は、ようやく代表に爪痕を残せた。まだまだ球離れが遅く、プレー全体をスローにし、好機を逸する場面もあった。しかし前線で見せるキープ力とシュートまで持ち込むセンスは飛び抜けている。

 堂安律(フローニンゲン)も、力みが見えたものの、中央に切り込むドリブルは力強く、推進力になっていた。次世代のエースとしての片鱗は見せている。オランダリーグでプレーを重ねながら、もうひとつ上のカテゴリーに行ったときには、真のエースとなる器が満たされるはずだ。

 しかし、彼らは船出したばかりである。

 率直に言って、コスタリカは歯ごたえのない相手だった。小国だけに主力の不在を補う人材は乏しい。日本のミスによってゴール前に殺到できる機会が何度かあったにもかかわらず、ゴールに近づくにつれて技術精度が目に見えて落ち、好機をフイにしていた。ロシアW杯で戦ったような代表だったら、ゴールを仕留めることができていただろう。

 日本は守勢に回ることがなく、それによってマイナス面が出なかった。

「もっと点を獲れるチャンスはあったし、ピンチもまったくなかったわけではありません。さらに高い要求をしていく必要があると思っています。ただ、今日は選手たちが自分のよさを発揮し、アグレッシブに挑んでくれました。さらに個人が周りを生かし、周りと関わり合うことでそれぞれがよさを引き出す、という形になっていけばと思います」

 試合後、森保監督が訥々(とつとつ)と語ったように、今はあくまで「いい船出をした」という評価に止めるべきだろう。

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