神谷優太がU-21に帰ってきた。頼れる男は嫌われ者になる覚悟あり (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by Getty Images

「不運でしたね。でも、その不運をポジティブに捉えてやってきましたし、だから今、少しずつ結果も出てきているんだと思いますね」

 プロ3年目を迎える今シーズン、神谷は湘南ベルマーレから愛媛に期限付き移籍した。出場機会を得るため、そして、勝負の責任を負うため、だった。

 だから、クラブから背番号10番を打診されると、ためらうことなく「もちろんです」と即答し、エース番号を背負ってプレーしている。

 ところが、負傷者が続出したチームは開幕から低迷し、浮上のきっかけを掴めないまま、5月15日に間瀬秀一監督が退任。しかし、後任に下部組織を率いていた川井健太監督が就くと状況は少しずつ好転し、7月8日のFC岐阜戦からは4連勝を飾って、一時は最下位に沈んだ順位も18位まで浮上した。

 チーム復調の原動力となったのは、ケガから復帰した神谷だった。1トップやシャドーとして起用されると、ここ4試合で3ゴールをマークしたのだ。

 湘南に加入してからボランチにコンバートされて守備力に磨きをかけたが、青森山田高時代はインサイドハーフ、東京ヴェルディの下部組織に在籍していたころは2列目や1.5列目でプレーするアタッカーだった。その当時の感覚を蘇らせて、ゴール前に飛び込む鋭さを取り戻していったのだ。

「愛媛で自分がやらなければならないのは、得点を獲って結果を出すこと。前で起用されて、それがより明確になったと思います。声を出してチームを引っ張っていく選手は愛媛にもいますけど、プレーで引っ張る選手はいないので、そこに関しては自分がやらなければならないと思っています」

 代表のチームキャプテンは今回、年上の三好康児(北海道コンサドーレ札幌)が指名されたが、チームを勝利に導くために、ベスト8で散った1月のU−23アジア選手権の雪辱を晴らすために自身のすべきことが、神谷の頭のなかにはくっきりと描かれている。

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