アジア大会初戦は格下に辛勝。A代表兼任・森保一監督の気になる采配 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AP/AFLO

「日本がどのようにプレーするのかは、よくわかっていた。対策はできていた」

 かつてFC岐阜の監督を務め、現在はネパール代表を率いる行徳浩二監督がそう語ったように、ネパールが採った万全の対策の前に、日本の攻撃は封じ込められた。公式記録によれば、日本が放ったシュート数は22本。だが、決定的と呼べるチャンスは限られた。

 日本のグループDは、ネパールの他に、ベトナムとパキスタンが入る。実力的に考えれば、事実上、日本とベトナムの一騎打ちと言っていい。

 ベトナムと聞くと、一般的には日本よりかなり力が落ちるというイメージがあるかもしれないが、ベトナムはU-23代表+オーバーエイジ3人で臨んでおり、しかも日本が準々決勝敗退に終わった今年1月のアジアU―23選手権で準優勝している。今大会に出場しているチームに限っての比較で言えば、日本よりも"格上"と言ってもいいチームだ。

 だとすれば、今後のグループリーグの展開を見通したとき、得失点差で優位に立っておくメリットは大きく、ネパール相手に勝ち点3の確保だけでは、やはり物足りなさが強く残る。森保監督は、「まったく試合の流れが悪ければ、違う手を打ったかもしれないが、チャンスは作れていて、そこで決め切れるかどうかだった。攻守の切り替えもスムースだったので、そのままいって追加点を取れればなと思っていた」と言うが、結果的にベンチも効果的な打開策を講じられなかった印象は拭えない。

 それでも、2000年シドニー五輪で指揮を執ったフィリップ・トルシエ監督以来となるA代表との兼任で、一躍"時の人"となった指揮官は、「試合を決める追加点を取れなかったのは、次への課題」としつつ、まずは無失点での勝利を評価する。

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