ぼう然のNZ戦...。日本代表は「何にもない」チームになってしまった (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 また、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、ペナルティーエリア付近でFKを得られないことにずいぶんと不満を漏らしていたが、これだけ攻撃が低調なら当然のことだろう。緩から急へと攻撃のスピードを変化させて仕掛けるからこそ、それがドリブルであろうとワンツーであろうと、相手DFが後手を踏み、対応が遅れてファールを犯してしまう。それができていなければ、FKをもらえるはずもなかった。

 低調な内容に終わったのは攻撃だけではない。ディフェンス面でも、相手に押し込まれる時間帯ではただただ自陣でボールをはね返すしかなく、有効なカウンターにつなげるような場面はなし。挙句に数的優位の状況でクロスを入れられ、数的優位の状況でヘディングシュートを決められてしまったのでは目も当てられない。

 攻守両面でチームとしての連動性や円滑さを欠いた戦いぶりは、あたかもW杯が終わった直後の、新チーム立ち上げ初戦でも見ているかのようだった。

 強気のハリルホジッチ監督も、さすがに「まだW杯で通用するレベルからは程遠い」と認めていた。しかし、その理由はというと、「新しい選手をたくさん使い、いろいろなことを試した」からだという。

 これには、素直に首を縦に振るのは難しい。この試合の先発メンバーを見ても、代表を離れていた時期が長かったFW武藤嘉紀と、代表入りしてから日が浅いMF井手口陽介あたりを除けば、常連と言っていいメンバーばかり。少なくとも前半に関しては、もっと常連らしい、積み上げを感じさせる試合が見られなければいけなかったはずだが、むしろMF小林祐希ら新しい選手が交代で入ってからのほうが、攻撃が活性化された印象を受けるようではあまりに情けない。

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