NZ戦のイマイチな香川真司に見る、「迷路にはまり込んだ」ハリルJ (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 だがこの2人は、この時なぜかパニクっていた。この混乱に乗じてロハスは前進。タッチライン際からマイナスの浮き球を中央に折り返した。これをクリス・ウッドがヘッドで叩き込み、日本は同点とされた。これはあってはならないプレーだ。2対1なのに縦突破を許しては、お話にならない。

 最後に対峙した長友の、球際の弱さもさることながら、カバーに入るべき井手口のポジショニングの悪さも目についた。頭の中が整理されていないという感じだった。

 ここ何試合かで急に株を上げた井手口だが、この試合のデキはイマイチだった。身体能力は確かに高い。競り合いにも強い。だが、ゲームをコントロールする力、目は、まだ備わっていない。

 井手口とコンビを組む山口蛍もソツなくこなすが、全体に影響力を持つメッセージ性の高いプレーヤーではない。出場試合数を増やしているが、中心選手という感じはしない。ボランチという操縦桿を握る役目がこの2人にはできていないのだ。

 いわゆる中盤は、これに前述の香川の3人で構成されるが、香川も構成力に乏しい選手だ。これまでの文脈に従えば、後半15分以下の話を引き合いに出すのはためらわれるが、香川に代わって出場した小林祐希と比較すると、それは一目瞭然だ。動きの幅の広さが違う。積極的に絡もうとする姿勢、さらには「やってやるぞ!」という前向きさが伝わってくる、やる気に違いがある。

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