スペインの名将が豪州戦を分析。「サッカー戦術の教材として最適だ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 長谷部は劣勢の中でも、高いインテリジェンスを見せている。例えば味方のセットプレーでは守備のカバーを考えたポジショニングで、多くのカウンターを封殺した。彼の存在は、やはり戦術的に欠かせない」

 膠着した状態が続いたが、試合が動いたのは前半41分だった。左サイドでボールを持った長友佑都が少し下がってから右足でダイアゴナルにクロスを送ると、3バックの間を縫った浅野が抜け出し、左足で合わせてファーサイドに流し込んだ。

「浅野のシュートの直前、日本はマシュー・レッキーにミドルシュートを打たれ、右ポストを叩かれていた。こうした拮抗したゲームは先制点がモノを言う。事実、日本は流れを得た。先制直後、浮き足立ったオーストラリアを攻め立て、大迫勇也が右ポストをかすめる決定的シュートを放っている。そして後半も日本がポゼッションに固執するオーストラリアを餌食にし、ペースを握った」

 そしてエチャリは、「終盤に両指揮官の用兵によって、タクティカルゲームが山場を迎えた」と説明する。

「オーストラリアはポステコグルー監督が61分にトミ・ユリッチ、70分にティム・ケーヒルを投入。2人が前線に陣取ったことで、有効な攻撃の形が生まれる。日本のディフェンスには明らかな混乱が見え、オーストラリアの攻撃に迫力が出た。2人のFWはケガ、年齢が途中出場の理由だったようだが、バックラインを押し込める2人が先発していたら展開が違っていた可能性もある。

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