スペインの名将が豪州戦を分析。「サッカー戦術の教材として最適だ」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 15分までは日本有利の展開が続いたが、以降はオーストラリアも日本陣内に侵入し始めた。エチャリはその時間帯を、以下のように形容している。

「オーストラリアは徹底的にポゼッションスタイルにこだわっていた。ボールプレーとコンビネーションに優れた選手が多数おり、敵陣内に入ると数的に同数が作れるため、しばしば日本を脅かすようになった。

 対照的に日本はとことんカウンターを狙っていた。前線からの守備で自由を与えず、ダブルボランチと両サイドも封鎖。高い位置でボールを奪い、カウンターを発動させる戦術で、守備に基本があったと言えるだろう。

 この点で、日本の戦いのコンセプトは前回のオーストラリア戦と同じだった。前回は原口元気がボールを奪い、本田圭佑、長谷部誠の連係から原口が先制点を決めた。プレッシング、リトリート、カウンターをうまく用いたゲームだった」

 スペインの古豪、レアル・ソシエダで20年間、強化部長など要職を歴任したエチャリは、守備戦術の充実を指摘し、こう続ける。

「今回、中心選手である長谷部はオーストラリアに狙われる格好だった。ジェームズ・トロイージ、トム・ロギッチ、ロビー・クルーズの3人に囲まれる形で、しばしば数的優位を作られ、ボールを失い、幾度かカウンターを食らっている。しかし、山口、井手口が常に素早い帰陣を見せて事なきを得た。

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