本田圭佑の「インサイドハーフ起用」は存在価値を示す絶好のチャンス (5ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 アディショナルタイムのFW岡崎慎司(当時シュツットガルト/現レスター・シティ)のゴールで辛うじて勝利を収めたが、この試合で日本の攻撃のブレーキとなったのが、まさに本田だった。当時の主戦場だったモスクワとの寒暖差は40度近く。そのためにコンディションを崩し、トップ下の不調がそのまま日本の攻撃に停滞を生んだ。

 今回のイラク戦では、そこまでコンディションの悪い選手はいないが、ひと筋縄ではいかない西アジアでのアウェーゲームであることに変わりはない。狙うのは、ショートパスをつないで仕留めることではなく、むしろ、同じボールを保持するのでも、パスをつないで相手を揺さぶり、相手の体力を消耗させるようなボール回しだろう。

 また、リードを奪えたなら、イラクにボールを持たせておいて、カウンターで仕留めるような"省エネ"のサッカーも披露したい。

 つまり、ポゼッションスタイルの絶対的な司令塔ではなく、90分間の戦況に応じて臨機応変にゲームをコントロールする役割にこそ、本田の存在価値がある。

 ボールを保持するのなら、賢いポゼッションを――。イラク戦に期待したいのは、まさにその点だ。

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