新生なでしこで、宇津木瑠美が願うこと。「もう一度、あの熱い思いを」 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 それだけの経験と年月を重ねてきた宇津木だからできることだともいえる。

「自分で言うのもなんだけど、私は絶対サッカーにおいてはみんなより下手だし、技術だってそう。でも日本代表にいるために自分にできることは何かってなったとき、『私なんて無理』って言うような、そんなオバちゃんいらないでしょ(笑)」

 まだ28歳。それでも葛藤を繰り返しながら自分の立場と役割を理解した上で選ぶ道はきっと正しい。そしてサッカーというスポーツに必要なものは技術だけでないことを彼女は知っている。

「表情を出すことって悪いことじゃないと思う。淡々とプレーされても、もし自分がスタンドにいたら心を奪われない。うまい下手じゃなくて見ちゃう選手っているじゃないですか。見ている人も結果はもちろん重要だけど、もうそれだけで納得はしない。だったら姿勢とか気持ちがストレートに出てる選手の方が、見てる人たちの心はつかめると思うし、逆に言うと、それがなければ勝ったとしても離れていっちゃうと思うんです」

 まさに、なでしこジャパンのみならず、今日の日本サッカー界が抱える問題のひとつだ。

「一発逆転みたいな展開が一番盛り上がる。だってわかり切ったラブストーリーなんて誰も見ないでしょ?(笑) 」

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る