永里姉妹がお互いを語る。
「W杯エクアドル戦は姉として妹をフォローした」 (4ページ目)
――姉の背中を追い続けていた亜紗乃さんですが、あまり上昇志向が強い方ではなかったじゃないですか。そんな妹が「姉がいるからなでしこジャパンを目指す」と。変わりましたよね。
優季 うれしかったですね。でも、まだ力が足りないなっていうのもわかっていたから、もどかしい気持ちもあった。ドイツに行ってから初めてなでしこに招集されたのはアルガルベカップだよね? あの大コケしたとき(笑)。
亜紗乃 そう。派手にコケたのにノーオフサイドだったヤツね。2013年かな。
――ドイツのクラブに行く前の、一番最初に召集されたのは2009年のドイツ遠征でした。
亜紗乃 途中交代で少しだけ出ました。
優季 私、ボランチだった(笑)。
亜紗乃 あのときは相手が速すぎて......。交わった瞬間に相手がもう行っちゃってて、振り返りながら「無理!」って思ったもん(笑)。全然自分の力じゃ無理だなって思った。
優季 確かにあれは速すぎたね、ドイツ(笑)。
――実際になでしこで一緒に戦えるって実感した時期は?
優季 全然結果が出なかった2015年のアルガルベカップかな。初戦のデンマークに負けてるときに後半から亜紗乃が出てきて、めちゃくちゃやりやすくなったんです。守備面では特に。(亜紗乃は)1人で奪い切れちゃうから。
――選手として気を張っている自分がいるところに妹が入るというのは、どういう感情になるものですか?
優季 難しいな......。一番身近で応援してきた存在で、「代表を目指してほしい」「入ってほしい」と思ってきた。ワールドカップのメンバーに入って一緒にピッチに立ったとき(エクアドル戦)は選手としては見てなかったかな。完全に姉として妹を見てた。その方が苦しくない。一選手として見るのはやっぱりつらいものがありましたよね。それまでは、情を持って妹として見てしまえば楽なんだけど、自分も甘えちゃうからそこはしたくなかったっていう。
――このときはそれを許した?
優季 そう。この試合から。
亜紗乃 そんな気はしていました。だって試合中もやたら助けにくるなって思いましたもん(笑)。ディフェンスに入ってるときもすぐに挟みに来てくれたりとか、パスコースの近めにいたりとか。
優季 なるべく近くでフォローしなきゃって思ってたんだよ。
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