香川真司、最大のピンチ。ドルトムントに続いて代表でも薄まる存在感 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ただ、この頃の香川にはまだ余裕があった。自分の右足首の状態が完璧でないことを明かし、「試合に出てないから、しゃべらなくていいよね」などと、取材に訪れたこちらをからかう余裕もあった。ドルトムントの状況についても「若く才能のある選手が多いが、安定感には欠ける」と、落ち着いて語っていた。遠くないうちに自分にチャンスが来ることには微塵の疑いもない様子だった。

 今季のドルトムントは「そこまで強くない」というのが酒井高徳ら対戦相手の日本人選手が受けている印象だ。10月はブンデス、CL合わせて4連勝。大量得点が続き、勢いに乗ったように見えたが、その後、香川の言うとおりに失速した。

 だが、そこで回ってきたチャンスに、香川は力を発揮することができず、立場を回復するには至らなかった。10月の日本代表の2試合は、勝利したイラク戦では出場がなく、引き分けたアウェーのオーストラリア戦はフル出場。出場した試合で勝てないという印象は強く残ってしまう。

 11月に入り右足首痛が再発。10月末のダービー、シャルケ戦にはフル出場したものの、翌週の練習に参加せず、代表合流直前のハンブルガーSV戦ではメンバー入りさえしなかった。この試合でドルトムントのゴンサロ・カストロに香川の様子を尋ねた酒井高徳によれば「シンジはケガしている」と言われたという。

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