吉田麻也が「新しいサッカー」と語るハリルホジッチ流に未来はあるか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 迎えたオーストラリア戦、日本は失点をしないセーフティーな戦い方に終始した。堅守速攻に徹した日本など、ここ数年のアジアでの戦いでは見られなかった姿だ。

「前半は手応えがすごくよかった。(相手に)ほとんどチャンスを作らせなかった。失点はPKなので、守備のオーガナイズの問題というより、アンラッキーなところがあった。(相手の)クロスに対する対応もよかったと思う。サイドバックにはクロスを(事前に)止めるように何度も言っていて、ほとんどチャンスを作らせなかった。(相手が)もう少し後ろから長いボールを蹴ってくるかなと予想していたが、それがなかった分、かなり助かった」

 吉田がそう振り返るように、日本の採った戦術ははまった。だが逆に、日本のよさは完全に消えていた。

 ボールを回して相手の隙を突いてチャンスを作る――日本にはそれができるメンバーがそろっているはずだが、イラク戦も、オーストラリア戦も、ボールを保持して効果的にパスを回すスタイルの攻撃は、ほぼ見られなかった。ハリルホジッチ監督が縦に速い攻撃を指示しているだけに、どうしても選手は縦に急ぎがちだが、戦術的な幅がなければ強い相手を崩すのは難しい。

「本来であれば、つなぎたいですけど......」

 吉田も、その点は歯がゆさを感じているようだ。

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