スペインの知将が語るイラク戦。「日本が苦戦した理由を3つ教えよう」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

「イラクは基本的にラインを下げ、中盤に人を集め、2トップのカウンター(サイドからも1人が参加)という戦い方を選択している。一方の日本はボールを失った瞬間、強度の高いプレッシャーをかけ、ショートカウンターを目論んでいた。しかしうまくはまらず、逆に何度か、カウンターを浴びる形になっている。もっとレベルの高い相手だったら、失点を喫していたかもしれない」

 エチャリは序盤の攻防を、プレッシングを軸に説明する。

「日本は、"全速力でのプレッシャーでボールを奪い取る"という意気込みだったのだろう。しかし、少々軽率だった。なぜなら全力でボールを奪いに向かうと、このレベルではわずかなフェイントと方向転換で、簡単にかわされてしまう。ボールを奪うことを目的にしつつも、そのためには相手がボールを失うように仕向けるべきだった。ボールを奪い取るスペースを限定していくべきだろう。

 果敢なプレッシングは、必ずしも適切ではない。例えば柏木陽介は、21番の選手(サード・アブドゥルアミール)に引っ張られすぎ、ポジション的優位性を崩していた。柏木は左足のキックに優れ、運動量が多いのが特長だろう。しかしその動きは規則的でなく、守備では綻びを作ってしまっており、さらに言えば、プレーメイキングも効果的ではなかった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る