ハリル劇場はスリル満点。W杯アジア
予選は「心臓に悪い試合」が続く (2ページ目)
その両方の見方ができることは、試合内容にもよく表れていた。中盤でのプレスは強まり、タイがカウンターに移ろうとしても、すぐに高い位置でボールを奪い返すシーンは増えた。だが、その一方でマイボールになったときに、それなりにパスはつながっていても、なかなかテンポが上がらず、リズムよく攻撃することができなかった。これは特に前半、ピッチを横に広く使い、押し込んではいるものの、1点しかゴールが奪えなかった要因である。
結局、後半に入ると、チャンスがありながらゴールできない焦りから、攻撃が中央に偏る相変わらずの悪癖を露呈。行ったり来たりが激しい、落ち着かない試合展開に陥った。タイはUAEほど選手個々の能力が高くなかったため、大事には至らなかったが、相手関係を差し引いて評価すれば、UAE戦で見せた危うさが解消されてはいない。そう見るのが自然だ。
2-0で勝ったタイ戦。日本がほぼボールを支配していたが...... これで日本は最終予選最初の2試合を終え、1勝1敗の勝ち点3。グループBで、ともに2連勝のオーストラリアとサウジアラビアに次ぐ3位につける。
組み合わせが決まった時点で、2引き分けの勝ち点2もありうると考えていたので、現状はそれよりも勝ち点1多いが、相手に与えた勝ち点も1多い。事前に考えうる、最悪に近いスタートである。
それでもヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「これから日本はより強くなってくれると思う」と、楽観的な見通しを口にする。
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