ヴィッセルDF岩波拓也は「声出し」で五輪予選を突破する (4ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

 キャンプで感じた細かい差のなかには、「声出し」や「リーダーシップ」があった。そうした課題について、U-23日本代表チームのなかで、岩波はすでに取り組んでいる。

 取材エリアではことあるごとに「自分が引っ張っていきたい」と明言し、実際にチームメイトと積極的にコミュニケーションを図る姿が目立つ。「声」についても12月上旬のカタール・UAE遠征で大きな改善が見られた。年上の遠藤航(湘南ベルマーレ)や大島僚太(川崎フロンターレ)に対しても、遠慮は一切ない。最終ラインから「最後まで追え!」「もっと寄せろ」と絶えず指示を出し、叱咤激励する声がピッチに響き渡った。

 キャプテンの遠藤が「タクが後ろからすごく声を出して助けてくれた。自分ももっと周りを動かしたり、鼓舞していこうと思っている」と言えば、2列目の中島翔哉も「後ろからすごく声を掛けてくれて、行くところ、待つところがはっきりした」と感謝した。

 カタール・UAE遠征ではU-22イエメン戦、U-22ウズベキスタン戦のいずれも0-0に終わり、得点力に不安を残したが、一方でいずれも完封した点も見逃せない。2試合を通して失点しそうなピンチはほとんどなかった。岩波を中心とした守備陣が、最終予選に出場する両チームに隙を与えなかったのだ。

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