U-22代表合宿スタート。リオ予選の秘密兵器、鎌田大地の「異能」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真

 一方、2ndステージ第15節の松本山雅戦、後半途中に出場した鎌田は、決勝点の契機を鮮やかに作っている。トップ下の位置でボランチからのボールを引き出すと、巧みなシュートフェイントを繰り出し、巧妙にパスコースを作り出した。これが水沼宏太の決勝点につながっており、アタックラインの選手と近い距離でプレーしているときの彼は一頭地を抜いている。

 若手が台頭してくると、「フィジカル」や「守備」や「経験」という曖昧な言葉で、その課題が片付けられてしまう。それは必ずしも間違いではないが、正しくもない。鎌田が一流選手になるには、試合の中で持っている性能を操り、そして限界以上に能力を引き出すことが求められる。それは優秀なドライバーが、1周1分50秒が限界といわれるマシンで、1分49秒台を出すことに似ているかもしれない。

 もし鎌田が経験の中で自分の性能を認識し、使うべき時と場所を心得られたら――。リオ世代から世界へ羽ばたく選手となるに違いない。

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