貧弱なセンターバックこそ日本代表の根本的問題である (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 後方の選手がイニシアチブを取れないサッカー。ザックジャパンは、こうした傾向が強いチームだった。良いサッカーができなかった理由と大きな関係がある。

 そうなってしまった理由は、ザッケローニの指導力も大きく関係するが、日本人のストッパータイプの大型選手に、ゲームを仕切るリベロ的なセンスが概して欠けていることも大きな原因だ。

 闘莉王的な選手が見あたらないのだ。ザッケローニは、にもかかわらず、闘莉王を代表チームに招集しなかった。「良い選手だとは認識している」と、言うに留まった。

 デカいのに気が利いている選手。乱暴に言えばそうなるが、気が利いているかいないかという問題以前に、大きくてしっかり守れる選手が少ないのだ。日本人のディフェンダーは、180センチを超えてくると、フットワークに難が目立つようになる。身長が高い選手ほど、ドタドタとした巧緻性の低い動きになる。それはどの国の選手でも言えることだが、外国の選手と比較すると日本人は、5センチ、いや10センチ近く、低い身長で鈍化する。

 CF不足、GK不足に陥っている原因とも、それは大きな関係があるが、相手に攻め込まれる回数が多いW杯本大会のような場に出ると、センターバック系の選手の貧弱さは、とりわけ浮き彫りになる。

 近い将来には解決不可能な、日本が抱える根本的な問題だ。これとどう向き合うか。

 身長のハンディに目を瞑(つむ)る。身長の高い選手を無理に使わずに、フットワーク、ボールの操作能力、フィード能力、リーダーシップ、戦術眼等、その他の要素を重視することもひとつの手だ。今野をCBで起用したザッケローニのアイデアも、それと同じ価値観に基づくものだと思う。

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