【なでしこ】アルガルベ杯決勝へ。スウェーデンに逆転勝利の価値

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 やはり相性がよかった。アルガルベカップ第3戦。アメリカを下してBグループ首位を走るスウェーデンとの一戦は、ともに決勝進出のかかったものとなった。相手は現在2連勝で引き分けでも日本を上回る。この試合で必要なものは、どんな形であれ勝利のみだった。

後半開始早々同点ゴールを決めた大儀見優季後半開始早々同点ゴールを決めた大儀見優季 第2戦のターンオーバーで休養を挟んだ主軸たちを中心に、初戦のアメリカ戦と同じベストメンバーに、この日は左サイドバックに宇津木瑠美が入る布陣だった。

 8分、右サイドから川澄奈穂美のクロスで好機を演出。中で待つ澤穂希、大儀見優季には惜しくも合わなかったが、挨拶がてらのサイド攻撃を見せると、前半は川澄が冴え渡った。ゴール前へのクロスはもちろん、時折中央へ入り込んで、パスで味方のフィニッシュラインを整えることもしばしば。

 しかし、これらの川澄のプレイはひとりでできた訳ではない。もちろん、川澄の動き出しの鋭さと、ボールを受けてからのスピードがなければ成り立たないが、FWの大野忍、大儀見らがそこに川澄を動かすスペースを作り、澤、阪口夢穂の両ボランチに左サイドMFの宮間あやが加わり、絶妙なパスで押し上げる連係なくして形作られないものだった。

 前半、左サイドで十分にタメを生んでからの右サイドへの流れはほぼ完璧だった。ゴールの匂いはバイタルエリアに充満していたが、スウェーデンも反撃に出る。38分、ヤコブセンの左サイドから切り込んでのシュートをDF熊谷紗希がカット。続く、コーナーキック(以下CK)も凌ぐ。その直後にも再びヤコブセンに襲いかかられたが、今度はDF岩清水梓が体を入れ込んでCKに逃れた。しかし日本は、このCKでセンブラントにど真ん中を破られて、スウェーデンに先制を許してしまう。41分のことだった。失点のタイミングは最悪。それでも日本に焦りは見られなかった。

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