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U-21手倉森ジャパン初陣。原動力は選手に芽生えた強烈な野心 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by Getty Images

「(4-3-3でいくと)言われたのは今日でしたけど、映像で見てイメージできたので、戸惑いや驚きはなかった。あとは選手同士で話し合って、動き方の確認をしました」

 まずは相手の良さを消し、そのうえで自分たちの良さをどう出すか――。それはまさに、手倉森監督が昨年まで指揮したベガルタ仙台で披露してきた戦い方、そのものだった。

 18分に生まれた待望の先制点、24分の追加点も狙いどおりの形だ。

 2点ともウイングからウイングへと横パスが渡り、それをダイレクトで蹴り込んだもの。とりわけ2点目で顕著だったのが、センターフォワードの鈴木武蔵(新潟)が相手のセンターバックを引っ張る動きだ。この動きによって、横パスのルートが開通した。

 中島翔哉(東京V)の先制ゴールをアシストし、中島からのパスで追加点を奪った矢島慎也(浦和)が振り返る。

「(鈴木)武蔵はニアに入ってくれるし、(中島)翔哉も最後まで自分の動きを見てくれる。自分も翔哉と武蔵の動きは常に確認しているし、ふたりとは去年も代表でプレイしたから、分かり合えていると思う」

 前半の終了間際にオウンゴールで3点目を奪った日本は、後半、相手のハンドで得たPKを中島が決めて4点目。その後は、発熱で2戦目を欠場した幸野志有人(FC東京)を送り出したり、ここまでフル出場してきた鈴木を休ませたりするなど、テストしながら危なげなく勝ち点3を獲得した。

 オーストラリアに完勝した理由として挙げられるのは、日本の戦略がハマったこと、相手がすでに首位通過を決めていたことのほかに、日本のコンディションや連係が高まってきたこともある。逆に言えば、3-3で引き分けた初戦のイラン戦、0-0のドローに終わった2戦目のクウェート戦は、日本にとって難しいシチュエーションだった。

 シーズン中のイランとは異なり、日本にとって1月はオフシーズン。そのため、選手がコンディションや試合勘を取り戻すのに、どうしても時間が掛かってしまった。同じように過去にも、A代表や五輪代表が1月~2月の試合で苦戦を強いられるケースが頻繁にあった。ましてや、このU-21日本代表は、2年後のリオデジャネイロ五輪への出場を目指し、今年に入って立ち上げられたばかり。1月5日に集合し、わずか4日の練習と1試合の練習試合だけでイランとの初戦を迎えている。

 加えて、中1日の試合日程のため、クウェートとの2戦目では初戦からGK櫛引政敏(清水)、DF西野貴治(G大阪)、植田直通(鹿島)、FW鈴木を除く7選手を入れ替えて戦うことになり、連係を高めるのにも時間がかかった。

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