若い北朝鮮にスコアレスドローも、なでしこに新たな攻撃パターン

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

試合終了直後、悔しい表情を見せたキャプテンの宮間あや試合終了直後、悔しい表情を見せたキャプテンの宮間あや 東アジアカップ第2戦の相手は北朝鮮。1勝同士の対決はスコアレスドローに終わった。ともに勝ち点1を加え、得失点差で日本が首位を守った――。だが、試合終了後の選手たちの表情は両極端だった。疲労感とともに充実感が見られる北朝鮮の選手たち。その横で阪口夢穂はしゃがみこみ、宮間あやは空を仰ぎ、大野忍は茫然としていた。その姿こそが、負けてはいないもののどこか敗北感すら漂う悔しさの表れだった。

 ドイツワールドカップでドーピングが発覚した北朝鮮は、そのペナルティとして2015年のカナダワールドカップに出場することができない。現在は2019年大会に向けてのチーム作りとしてU-20世代の選手を中心に生まれ変わっている。この日のスタメンの平均年齢は21.3歳。ちなみに日本のスタメン平均は25.3歳。単純計算でも1カテゴリー若い。さらに言うならば、ワールドカップ優勝、オリンピック銀メダル経験者がほとんどを占める日本とは、経験値で天と地ほどの差がある。となれば、このスコアレスドローが何を意味するかは明らかだ。

 北朝鮮との戦いに佐々木則夫監督は、左サイドに高瀬愛実、右サイドバックに山崎円美を起用した。高瀬はケガからの復帰戦、山崎は初スタメンとなる。前日にGKとDF陣で行なわれたミーティング。右サイドに抜擢された山崎も意識を合わせるため、守備陣についていった。その甲斐あって、前半から高い位置でラインをコントロールし、5本ものオフサイドを取るなど相手をハメる場面も見られた。岩清水梓は言う。「大会無失点で結果にもこだわる」と。無失点のために、取り組んだ背後のケア。ヨーロッパ遠征で露呈した、攻撃を仕掛けた後のカウンターの対応が課題だった。この日は、前半こそ「リスクマネージメントの仕方が悪かった」(岩清水)ため、何度かゴールを脅かされたものの、後半に入ってからは、ボランチの阪口夢穂が状況に応じてケアに入るなど修正されていた。無失点という意味では評価はできる。

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