コンフェデ杯、全敗。「3試合9失点」を守備陣はどう考えているのか? (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 一方、失点の多くは個の対応に原因があった、と分析したのは吉田麻也だ。彼自身、イタリア戦の52分、まずい対応でジャッケリーニにかわされ、オウンゴールにつながるクロスを入れられている。そのためだろうか、守備陣の中でもひと際、責任を痛感しているように見えた。

「局面、局面ではやられてしまいましたけど、組織として大きく崩されたことはなかった。失点の多くは寄せの甘さなど、個のレベルを上げることで解決できるものだと思う。例えば、ブラジル戦の1点目、2点目、イタリア戦の2点目、4点目、メキシコ戦の2点目は、防ぎようがあったと思うんです」

 確かにいずれも、相手にあと1、2歩寄せることができれば、たやすくゴールを割られなかったに違いない。吉田は挙げなかったが、メキシコ戦の1失点目、酒井宏樹がグアルダードに簡単にクロスを入れられた場面も、ここに加えたい。寄せの甘さは、岡田武史監督時代のオランダ遠征(2009年)でも指摘されたものだ。意識を改善するだけで、ずいぶん変わってくるはずなのだが……。

 ただし、守備陣の想いを代弁するように、「ネガティブなことばかりじゃない」と今野は言う。

「前からプレスをかけて、ボールを奪ってショートカウンターを繰り出したり、うまく守れている時間帯もけっこうある。あとはもっと繊細にラインコントロールして、90分間、隙なくやれれば世界に近づけると思う。バロテッリの身体能力やエルナンデスの動き出しを、今回体験できたのも大きい。これを無駄にしてはいけない。この感覚を大事にして、帰ってから課題に取り組みたいと思います」

 もし、この先も失点が減らなければ、守備の人数を増やして解決せざるを得なくなるかもしれない。だがそれでは、攻撃陣の枚数を1枚削って、ディフェンスラインの前にアンカーを置いた南アフリカワールドカップと変わらなくなってしまう。

 失点は守備陣だけの責任ではないが、それを承知のうえで敢えて言う。ザックジャパンがこれまで積み上げてきた「攻撃的なスタイル」をワールドカップでも貫けるかどうかは、守備陣の成長に懸かっている。

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