ブラジル戦で浮き彫りとなった「香川×本田」共存問題 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 よほどショックを受けているのか、絞り出すようにして発せられた声はか細く、弱々しかった。

 とはいえ、ブラジルに主導権を握られる展開で、香川が守備に回らざるを得なかったのも事実だった。香川と長友に対して、ブラジルはダビド・ルイス、ダニエウ・アウベス、フッキの3人、あるいは、ダニエウ・アウベス、フッキ、オスカルの3人で仕掛けてきた。香川が自陣に戻って守備をしなければ、壊滅的にやられていた可能性は十分ある。

 香川が守備に忙殺されれば、攻撃面で持ち味を発揮できなくなるのは当然だ。むしろ、守備での献身性とハードワークが魅力の岡崎をサイドに起用し、香川を中央でプレイさせるという選択があってもよかった。「今日はボールに関わる回数が明らかに少なかった」と香川は嘆いたが、それは彼だけの問題ではないだろう。

 香川と本田、ふたりのエースを最大限に活かすには、どう共存させるべきか——。世界のトップレベルとの対戦で、再びこの課題に向き合うときが来た。本田のキープ力、香川のバイタルエリアでの敏しょう性。両者の守備の負担をなるべく減らすことを考えれば、1トップに本田、トップ下に香川という形が最も有効だと思われる。果たしてザッケローニ監督は、イタリア戦でどのような判断を下すだろうか。

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