2013.06.05

長友佑都が振り返るオーストラリア戦。「残り10分、動揺はなかった」

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

1点のビハインドを背負ったときの心境を語る長友佑都 まさに起死回生の一撃だった。

 1点ビハインドで迎えた90分、クロスから相手のハンドを誘った本田圭佑が、自らPKのキッカーに名乗り出る。ど真ん中に蹴り込まれたボールはネットを揺らし、日本は土壇場で1−1の同点に追い付いた。同じ1986年生まれで、「W杯優勝を目指そう」と誓い合う盟友に対して長友佑都は、「蹴ったのは真ん中ですからね。彼のメンタルの強さを物語っていると思います」と言って脱帽した。

「圭佑なら決めると思っていたんで、なんの心配もしてなかったです。一応、止められたときのために、しっかり(ゴール前に)詰めましたけど、信頼はしていました」

 それにしても、厳しいゲームだった。全体を通して主導権を握っていたのは日本だったが、身体を張ったオーストラリアの守備に、本田や香川真司のシュートは阻まれ続けた。

 ドローで終わってもW杯の出場権を獲得できる。しかし、日本に引き分け狙いの思惑はなかった。79分にFWの前田遼一に代えてDFの栗原勇蔵を投入したシーンも、守備を固めたわけではなかったという。

「フォーメーションを変えて前に行け、って言われました。得点を狙うために僕をサイドハーフにしたと思ったので、積極的に仕掛けていこうと」

 センターバックの今野泰幸を左SBに、左SBの長友を左サイドハーフに移すシフトチェンジは、2011年1月のアジアカップ決勝でオーストラリアを破ったときと同じもの。その再現を狙ったが、直後、相手のクロスが流れてネットを揺らすという不運な形で失点してしまう。残りは10分——。焦りが生じてもおかしくない。しかし、動揺はなかったと長友はきっぱりと言う。