名波浩が斬る「オーストラリア戦までに修正すべき3つのポイント」

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

名波浩の視点

 W杯最終予選の大一番となるオーストラリア戦(6月4日)を控えた日本代表。5月30日には、そのテストマッチとしてブルガリアと対戦したが、0-2で敗れた。

 日本にとって何より痛かったのは、前半3分という試合開始早々に失点してしまったこと。ただでさえ、久しぶりの3バックで神経を使っていたのに、失点したおかげで、やらなければいけないことが余計に増えた印象だった。本来は精神的に余裕を持った戦い方をしたかったと思うが、やや浮き足立って、事前に予定していたことがまったくできなかった感がある。

ブルガリア戦ではやや精彩を欠いていた長友佑都。ブルガリア戦ではやや精彩を欠いていた長友佑都。 守備では、これ以上、点を与えてはいけないという思いからか、守勢に回ってしまった。日本代表の持ち味である、高い位置から仕掛けていくディフェンスが影を潜め、両サイドのいちばん深いスペースをケアすることに奔走するシーンが目立った。結果、5バック気味になることが多く、いい形でボールを奪うことできなかった。

 一方の攻撃も、ブルガリアの洗練された守備に封じられた。欧州予選では、イタリア、デンマーク、チェコと同組で「死の組」と称されるグループで無敗のブルガリア。さすがによく鍛えられていて、日本のボランチに対するチェックが厳しく、2列目の左右のスライドにもきっちりマークがついていた。日本が実践するサッカーを、完璧に把握しているかのような対応だった。

 前半途中からは、日本もボールを中盤から前線に出し入れする中で、徐々に攻撃のリズムが出てきた。前線の選手には、相手の背後を狙おうという意識も見られた。しかし、あまりいい場面を作ることができなかったのは、相手の背後を取るとか、おとりになる動きとかが、連動していなかったからだ。それこそ、今の代表チームにとっていちばんの"肝"となる部分だと思うのだが、そうした選手の連動性が見られなかったのは、ちょっと残念だった。

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