【日本代表】福田×名波が提唱する「ザックジャパン、残り1年半の強化策」 (3ページ目)

  • 小室 功●取材・文 text by Komuro Isao
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuihci

――現在、日本代表のシステムは4-2-3-1です。そこの変更は考えられませんか。かつては「戦術的なオプションになり得る」として、ザッケローニ監督の代名詞のように言われた3-4-3も実践していました。

福田
 3-4-3は、選手たちがかなり違和感を覚えながらプレイしていたからね。ザッケローニ監督も、もうトライする時間がないと思って、諦めたんじゃないかな。欧州でプレイする選手が多くなった代表チームの置かれた状況を踏まえると、みんなで集まれる時間がすごく限られていて、国内でミニキャンプを重ねながらチームの戦術を浸透させていくといった方法はとれない。そこで、ブラジルW杯で前回(ベスト16)以上の成績を残すために何をしたらいいのか考えた場合、ザッケローニ監督は、新たな戦力を見つけ出したり、まったく違う戦術にトライしたりするよりも、今いるメンバーの連携面を深めたり、組み合わせの選択肢を広げていったりするほうが得策だと考えているんじゃないかな。

名波 ほとんどメンバーを代えないメリットは、戦術的な上積みが期待できること。ただ、人的な上積みを考えるなら、やっぱりここまで出場機会の少なかった選手にもう少しチャンスを与えてほしいよ。はまるのか、はまらないのか、とにかくやってみないとわからないわけだから。

――さて、今年6月には、ブラジルでコンフェデレーションズカップが開催されます。日本は地元ブラジルをはじめ、イタリア、メキシコと同組。世界レベルの国々と戦う絶好の機会で、何を求めたいですか。

福田
 W杯本大会に向けた本当にいいシミュレーションになるし、対戦相手を見ても申し分ない。この機会を無駄にしないよう、思い切ってぶつかって、多くのことを体感してほしいね。それぞれの国に対して、どんなプランを練って臨むのかはわからないけど、目的はコンフェデでいい結果を残すことじゃなく、あくまでもその先。2014年W杯が大事なので、そこにつながるような、内容のある戦いをしてほしい。とはいっても、世界の強豪国と戦える機会はそう多くない。「勝ち上がって1試合でも多くできれば……」という気持ちは強い。

名波 コンフェデの結果そのものが重要視されるわけじゃないけれど、W杯本番でも実現できないような、すごくいい相手と対戦できるわけだから、すべての試合をガチで、本気で勝負にいってほしいね。

福田 W杯になれば、対戦国をしっかりスカウティングして、相手の長所と短所を分析し、お互いの力関係を踏まえ、どうやって勝つかを徹底的に考えるだろうけど、コンフェデのときはおそらくそこまでしない。自分たちのよさがブラジル、イタリア、メキシコにどれだけ通用するのか、そっちに重きを置くだろうね。そうすると、昨年10月の欧州遠征のブラジル戦のような、大敗になる可能性もある。でも、全力でぶつかっていって、「やっぱりこういう戦い方じゃ勝てない」とわかるだけでも収穫になると思う。

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