【リトルなでしこ】NZにも快勝。チーム力アップで決勝トーナメントへ視界は良好 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 中盤での勝負は不利とわかっているためか深追いはせず、中央のペナルティ付近のバイタルエリアで人数をかけて日本の攻撃を止めるプランだったニュージーランド。それに対し、日本はシュートを浴びせるも、前半はその牙城を崩すことができずに無得点。

「ゴールを待っていた」という吉田弘監督は後半から長谷川唯を投入、リズムの変化を試みた。そして、この采配がズバリ的中する。待望の瞬間は60分に訪れた。

 ゴール前の混戦からこぼれたところを「落ち着いて浮かさないように思いっきり蹴った」という長谷川が決めた。このゴールで焦りを払拭した日本は68分、再び長谷川がゴール。
「隅田さんとワンツーで抜けようと話していたんですけど、(自分が)フリーだったので......」と放った長谷川のミドルは、一直線にゴールマウスへ突き刺さった。

 その後、ロスタイムには隅田が突破からPKを獲得。これを隅田自らが決めてダメ押しの3点目。引いた守備に苦しめられ、流れからの得点を奪えなかったことは課題として残るものの、終わってみれば3-0での危なげない勝利だった。

 2ゴールを挙げた長谷川のプレイと同じく、光っていたのはこの日初スタメン・フル出場を果たした籾木(もみき)だ。身長151cmとチームで最も小柄な選手。しかし、それを感じさせないキレ味の鋭いドリブルが真骨頂。左サイドをえぐり、幾度となくチャンスを生み出し、自らもゴールを狙った。

 しかし、その陰では苦脳の日々が続いていた。右足首の故障でここまでの一カ月、決して万全とは言える状態ではなかった。それでも、練習の合間など、籾木の周りはいつも笑顔が溢れている。

 籾木がスタメンを告げられたのはスタジアムに向かう直前のこと。「絶対に出たかった世界大会でのスタメン。悔いの残らないようにプレイしようと思ってました。ゴールしたかったんですけど(苦笑)」としながらも、「改めてサッカーって楽しいって思えた! 試合中もみんなと声を掛け合いながら、チームとして成長している感じ。誰が出ても大丈夫なのがこのチーム。今日は相手が中を固めていたので、どうしてもボールが外回しになってしまった。サイドだけじゃなくて、しっかりと中も通せるようにしないとダメですね。1位通過したいので、次もしっかりと勝ちたいです」と決意を新たに、次はW杯での初ゴールを誓った。

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