【名波浩の視点】五輪で解散するのがもったいないほどの『チーム』になった関塚ジャパン

  • 渡辺航滋●写真 photo by Watanabe Koji

ロンドン五輪に挑んだ関塚ジャパンは「誰がというよりも、選手全員が試合を重ねるごとに伸びていった」(名波氏)ロンドン五輪に挑んだ関塚ジャパンは「誰がというよりも、選手全員が試合を重ねるごとに伸びていった」(名波氏) ロンドン五輪に出場したU-23日本代表が、大会前の低評価を覆(くつがえ)して44年ぶりにベスト4入りを果たした。最後は残念な結果に終わったものの、今大会の日本は十分に評価できる。

 その躍進を語るうえで外せないのは、初戦のスペイン戦だ。やや守備に比重を置いた自分たちのコンセプトどおりの戦いを、誰もが忠実にこなして見事に先制。相手が退場者を出してからは一気に解き放たれた感があり、前からのハイプレッシャーも恐れずに仕掛けられるようになった。プランどおりというか、それ以上の戦いを見せてくれた。

 同時に結果も出して、そこで得た自信は相当なものだったに違いない。その後は試合を重ねるごとに個々のパフォーマンスも上がって、チームの勢いは増す一方だった。短期決戦で一気に伸びていく、若いチームのよさ、というものがもろに出ていたと思う。

 そんなチームを支えていたのが、オーバーエイジの選手たち。特に、吉田麻也はリーダーシップを発揮して、チームをよく引っ張っていた。最終ラインの統率はもちろん、チームの中で自分がやらなければいけないことを明確にして、その責任を強く背負う姿勢は本当にすばらしかった。プレイにも余裕が感じられ、それがチーム全体にも波及し、いい影響を与えた。

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