2012.08.22

【なでしこジャパン】アメリカ人記者が振り返る五輪決勝

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

試合終了後、あちこちでチームメイトどうしが抱き合う姿が見られた ロンドン五輪が閉幕して1週間以上が経過した今、あらためて女子サッカーの決勝、なでしこジャパンと世界ランク1位のアメリカの対戦を振り返ってみると、残念な気持ちになる。1-2で敗れ、結果的に金メダルを逃したからではない。内容的にはすばらしく十分に勝機があった分、悔やまれるのだ。

 大会を通せば、確かになでしこジャパンらしい”攻守にアグレッシブに連動する”サッカーが見られたわけではない。グループリーグでの内容は低調そのもの。準々決勝のブラジル戦、準決勝のフランス戦は相手の猛攻を凌ぎ、なんとか少ないチャンスを得点に結びつけ、不恰好ながら捨て身でつかんだ勝利だった。

 もしそこで敗れていたならば、なでしこジャパン、広くいえば日本の女子サッカーのイメージはひどく後退しかねない。そんな怖れすらあったように思う。

 だが、しぶとく勝ち上がったなでしこジャパンは、決勝ではそれまでの戦いが嘘のようにアメリカと正面から堂々と戦い、チャンスの数でも上回った。シュートがバーやポストに嫌われなければ……。相手GKホープ・ソロの好守がなければ……。”たられば”だが、結果は違っていたかもしれない。

 昨年のW杯決勝では、2-2からのPK戦の末、勝利を手にしたものの、それは「奇跡」にも近い印象だった。しかし、ウェンブリーでのファイナルでは、わずかに1点及ばなかったが、アメリカを追い込み、苦しめた。そして対戦相手のアメリカを含め、そのすばらしい戦いぶりはファンを興奮させ、女子サッカーの魅力を改めて印象づけるようなものだった。

 ウェンブリーで取材に当たっていた米ニューヨーク・ポスト紙のマーク・カニサロ記者も、そのすばらしい内容と日本の戦いぶりを称賛するひとりだ。

「エキサイティングな試合だった。どちらに転んでもおかしくない展開で、勝負は紙一重だった。日本のポゼッション能力の高さには、あらためて驚かされたし、正直、(日本は)ツキがなかったと言うしかない。前半のアメリカは明らかにペナルティエリア内でハンドを犯したが、審判が日本にPKを与えなかったのも、そのことを象徴していた。

 皮肉だと思うのは、昨年のワールドカップ(決勝)ではアメリカが再三のチャンスをモノにできなかったが、今回は日本がそうだったということ。日本はフィジカルでアメリカに劣っているものの、チームワークは見事で、あらゆるテクニックに優れていた。攻撃的な姿勢もすばらしかったし、結果的に少ないチャンスを生かしたアメリカが勝ったということさ」