【なでしこジャパン】粘り強くブラジル撃破。チームに生まれた一体感 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

 1点目は27分、ハーフウェイライン付近で日本ボールのFKになると、相手の隙を見逃さず大儀見がゴールへ向かって走り出した。一方、態勢が整っていない大野は、ボールをセットしようとしていた澤に「待って」というサインを送ったように見えた。2トップのふたりの異なる動き。その瞬間、澤がDFの背後へ絶妙なスルーパスを通すと、抜け出してGKと1対1になった大儀見が落ち着いてゴール右隅に流し込んだ。

「ナガ(大儀見)が準備してるのが見えましたし、セットプレイでの切り替えがいい具合にはまり、大野がいてくれたことで相手がうまくつられてくれた」

 そう澤が振り返ったように、大野の動きがブラジルDFを混乱させ、その隙を縫って大儀見がうまく抜け出すことに成功した。さすが澤、というプレイだった。

 2点目は73分。鮫島、大儀見と渡り、最後は大野が個人技でDFをかわして、左足でゴール左上部へ突き刺した。鮫島の縦へのフィードを大儀見がDFを背負いながら受け、左足で大野へラストパス。大野のシュートはもちろん、その前のつなぎもパーフェクトな得点だった。

「みんなの気持ちの入ったゴール。自分だけのゴールじゃない」

 大野はつないでくれたチームメートへの感謝を口にした。1ゴール1アシストと結果を出した大儀見も「ディフェンス陣が苦しい時間帯を防いでくれていたので、少ないチャンスをものにできてよかった」と喜んだ。

「1戦目も2戦目もディフェンス陣がすごく頑張っていたのが印象に残っていた」(大儀見)

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