「よくないことは指摘しないと、組織として強くなれない」 18歳の森下暢仁が語っていたリーダーの資質 (3ページ目)
【ものすごいスピンで空振りを取りたい】
ブルペンに移動して、森下の球を受ける。足が長くてしなやかな両肩の線、首が長くて頭が小さい。スリムなユニフォーム姿のシルエットもいい。
立ち投げで軽く投げたボールがもう強い。これが「できるヤツ」のバロメーターだ。ヨーヨーをこちらに向かって投げたような、糸を引く自然な伸び。パッシャーンとミットにめり込む。時計の文字盤でいえば、ほぼ12時の角度。真っすぐタテに振り下ろす腕の軌道が美しく、リリースの位置も高い。
「座るよ!」
そう告げると、やさしげだった顔がキリッと締まった。右腕が柔らかくしなり、指先がパチッとボールを切る。
「外いっぱいを狙う時は、リリースで指先の位置をちょっと外側にずらすんです」
すばらしいバックスピンだった。抜けた逆球でもスピンが生きている。ただ、また抜けた。今度は棒球になった。
「場外まで運ばれるなぁ、これじゃあ」
森下はスパイクで足元をガッと蹴った。いい根性だ。
「さあ、こっちだ! 1球だけ持って来い!」
白い糸が引かれた。ホームベースの角を切り、怒りを帯びたようなボールが外角低めに構えたミットへめり込んだ。
「自分の場合、ストレートの腕の振りで投げた変化球は、すべて緩急になって、結果的にバッターのタイミングを外すことになると思っています。フォームは膝の使い方がチェックポイントで、踏み込んだ左膝がつっぱるとボールは高く浮く。90度ぐらいの角度があると、上体が前に乗って低くいきます」
自分から「実演」して見せてくれる選手は一流だ。
「ほしいのは、腕の太さです。筋肉量が増えれば、腕の振りの速さが変わると思うんです。もっとスピンがかけられる」
最後の「スピン」の言葉に力が入った。この快腕の矜持なのだろう。
「空振りを取りたいんです。ものすごいスピンのかかったやつで!」
【チームのためなら嫌われ役にもなる】
高校最後の夏は大分大会決勝で明豊に惜敗し、卒業後はプロには進まず、明治大へ進学した。1年春からリーグ戦に登板し、東京六大学では4年間で42試合、15勝12敗、防御率2.42。4年春には全日本大学野球選手権で明治大を38年ぶりの日本一へ導いた。大学日本代表にも2年時から3年連続で選ばれた。
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