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「よくないことは指摘しないと、組織として強くなれない」 18歳の森下暢仁が語っていたリーダーの資質

  • 安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

流しのブルペンキャッチャー回顧録
第16回 森下暢仁(広島)

『みんなのカープ県民大会議』というテレビ番組をご存じだろうか。ドラフト直前、「今年の広島カープはどのような選手を指名し、チームを強化すべきなのか」──。そんなテーマを掲げ、200人ほどのカープファンが、おなじみの真っ赤なユニフォーム姿でズラリと居並ぶ。

 スタジオには、大野豊、小早川毅彦、緒方孝市らレジェンドOBに加え、カープ愛あふれるタレントたちも控え、喧々囂々(けんけんごうごう)の議論を繰り広げる。私はその番組で、40人ほどのドラフト候補選手について説明する役を務めている。

大分商時代の森下暢仁 photo by Nikkan sports大分商時代の森下暢仁 photo by Nikkan sportsこの記事に関連する写真を見る こんな「偏愛」に満ちた番組が、なんと公共放送のNHKで始まり、今年で9年目を迎える。カープのことだけを心配し、カープだけを応援する番組だから、NHK広島放送局の制作で、基本的には広島県内向けの放送だ(現在はNHK ONEでも視聴可能)。

 あまりにも偏った内容だからだろうか、スタート当初は深夜帯で放送されていた。ところが、これが当たった。高視聴率と県民からの大きな支持を得て、3年前からはゴールデンタイムに進出。途中に定時番組を挟みながら、堂々2時間半ほどの「生放送」である。今やすっかりNHK広島放送局の看板番組となった。ちなみに、今年の放送は10月9日午後7時30分スタートである。

 2019年10月16日に開催された第2回の放送当日、衝撃が走った。本番準備に大忙しだったスタジオが、一瞬にしてパニックになった。「カープ、明治大・森下暢仁を1位指名と公表」の一報が飛び込んできたからだ。そういう番組だから、「今年のカープはドラフト1位で誰を指名すべきか」を論じ合う時間は、番組のキモである。ところが、いきなり「森下1位」で決まってしまった。

 では、そのために用意していた30分ほどの"尺"をどうするのか。局内が蜂の巣をつついたような騒ぎになっているところへ到着した私は、「なんだ、簡単じゃないか」と思った。

「森下に決まったんだから、彼のことを話せばいいんですよ。僕がやりますよ」

 森下暢仁とは、どんな人間なのか。どんな投手なのか。その30分で私が話したのは、ほぼこんな内容だった。

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著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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