「よくないことは指摘しないと、組織として強くなれない」 18歳の森下暢仁が語っていたリーダーの資質 (2ページ目)
【高校生離れした芯の強さ】
初めて森下の取材をしたのは、彼が大分商3年の6月だった。すでに夏の大分大会の組み合わせも決まっていて、頭のなかに浮かぶのは、決していいイメージばかりではないはずの時期だ。それでも森下は、平然と言いきった。
「不安ですか? まったくないです。いろんな想像はありますけど、夏を前にした不安っていうのは、全然ないですね」
こちらの目をとらえたまま、語尾までメリハリの利いた話しぶりだった。
「自分は、打たれたくないんで」
このひと言には凄みがあった。相手が高校生であることを、一瞬忘れた。心の奥底に秘めた激しいマグマのようなものが、はっきり伝わってきた。
「性格はきついですよ、森下は。表面がやさしそうなんで、そういうヤツだと思われることが多いんですが、ほかの選手にもはっきり言いますし、芯の強さがあります」
入学した頃はやんちゃだった森下を、とことん指導してきたのが渡邉正雄監督(当時/現・佐伯鶴城監督)だ。
「じつは、森下のブルペン、一度も見たことがないんですよ。なんでも自分で考えてできるヤツですから。投げない日は、バッティングも抜群なのでショートで試合に出たり、練習でも『どこにいるのかな?』と思うと、ショートでノックを受けていたり......。それでも不思議とケガをしないんですね」
これに対して、森下が反応する。
「ちゃんと注意してやっていますから。『次の瞬間はこういうプレーになるな』『打球はこう跳ねるな』ってわかるから、そこはうまく体をかわすようにしています。ちょっと想像すればわかることですから」
バッテリーを組む捕手にも、言うべきことは言う。でも、決して文句を言っているような口調ではない。むしろ、部下が上司を諭すような口ぶりだった。
「オレより、もっと内野手や外野手に声をかけてほしいんです。バックが見えているのって、キャッチャーだけじゃないですか。もっと人に厳しくてもいい。チームメイトでありながら、それぞれライバルでもあるんですから、よくないことはよくないって指摘しないと、組織として強くなれないじゃないですか」
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