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【プロ野球】投手起用の革命家・近藤貞雄が大洋に 齊藤明雄が明かす「先発か抑えか」の30分の対話と"確執報道"の真相 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Yasuyuki Takahashi

 結局は齊藤の言うとおりであり、じつは大洋投手陣が"弱体"だった事情も明かされている。また、近藤も関根と同様、長年リリーフを務めてきた齊藤の体を気遣っていた。

【近藤貞雄が掲げた"休肩日"の意外な実態】

 その点、近藤はもともと過重な投げ込みを否定し、中日コーチ時代からキャンプ時の球数を制限。大洋のキャンプでは「休肝日」ならぬ「休肩日」を設けて話題になったが、実際にはどう制限されたのか。

「まったく制限はなかったです。『肩は消耗品だからね』とは言われたんですけど、僕が投げ込んでいても何も言わないし、遠藤にも『100球を超えたらやめろ』と言うようなこともない。選手にまかせっきりでした。だから、近藤さんが『ピッチャーにはあまり投げさせない』とコメントしていたので、僕としては『あれ?』という感じでしたね。若い選手には何か言っていたのかもしれませんけど、僕らには全然なかったです」

 これも中日時代からのアップデートなのか、それとも"休肩日"は話題づくりだったのか。いずれにせよ、主力投手は思いどおりに投げ込み、それぞれのペースで調整していた。

 オフには入念に体をケアし、しっかりと肩を休ませる。そうした自己管理を徹底し、肩やヒジの故障で離脱したことがない齊藤にすれば、球数制限など考えられなかったはず。そのあたり、近藤は「肩は消耗品」を大前提としつつ、制限するか否かは選手個々の判断に委ねていたのだろうか。

「『プロなんだから、自分でやらなきゃいけないのはわかってるだろ』という感覚だったんじゃないですかね。1日に300球投げているピッチャーがいても、何も言わなかったですし。いろいろ言っているように見えて、実際に『監督からこう言われた』という話は聞いたことがなかった。だから、僕としてはありがたかったですね」

 順調にキャンプ、オープン戦を過ごした齊藤は、4月13日の巨人との開幕戦にリリーフ登板し、今季初勝利を挙げる幸先のいいスタートを切った。しかし、翌日の第2戦では1点ビハインドの8回に登板して1点を失う。さらに、シーズン3試合目の登板となった同17日の中日戦では、同点の8回に勝ち越し点を許した。試合後、近藤は記者にこう語った。

「これで3度リリーフして2度失敗した。現実に、リリーフは無理だということです」

(文中敬称略)

つづく>>

著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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