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【ヤクルト二軍レポート】猛暑の戸田で汗を流す石川雅規、坂本拓己、田中陽翔...世代を超えた一軍への挑戦 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 北海道の奥尻島で生まれ育った坂本は、プロ1年目の夏、戸田の容赦ない暑さの前に「北海道とは全然違いました」と、熱中症で倒れたこともあった。

「奥尻はいっても30度くらいなので、それよりも5度も6度も暑いとなると......。今はこの環境にもだいぶ慣れてきたなと実感しています(笑)」

【19歳のルーキー・田中陽翔の可能性】

 今年1月の新人合同自主トレ。田中陽翔(19歳)は「体幹を意識して、何事も垂直に」と、厳しいランメニューでも姿勢を崩すことなく走る姿が強く印象に残っている。

 開幕すると打率は1割台から2割台前半がつづき、「守備もまったく自信がないです」と、プロの壁にぶつかっているようだったが、試合を重ねるごとに数字を伸ばしていった。

57試合 打率.249 43安打 2本塁打 9二塁打 4三塁打 22四球 出塁率.340

 特筆すべきは、出塁率の高さだ。7月8日には、高卒新人では12球団で一番乗りとなる一軍昇格。田中は「貴重な経験ができたとともに、自分に足りないものが見えてきました」と一軍での時間を振り返った。

 プロ初打席の相手はDeNAの剛腕、ローワン・ウィック。初球159キロの真っすぐに「見たことのないボールで手が出ませんでした」と目を丸くし、3球三振に終わった。

「一軍のピッチャーの球を初球から思いきってスイングできなかったことや、そのための準備の仕方など、役割をしっかり考えて行動できなかったと思います。でも、そのあたりは近距離バッティングや(ボールの)速いマシンでの練習を重ねれば、できるようになると思います」

 翌日は中川颯の前に最後は見逃し三振に倒れたが、試合後は落ち込むことなく「昨日より自分のスイングができたし、打てると思ったんですけどね。昨日より今日、今日より明日とやっていきたいです」と、充実した表情を見せた。

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