身長175センチ、球速140キロ台でも打たれない 西武・山田陽翔が明かす「打者を翻弄する独自投球術の全貌」 (3ページ目)
ピッチデザインと言われる上記の発想を山田が持つようになってから、まだそれほど時間は経っていないという。
「数値を気にしてやるようになったのは、去年の終わりくらいです。あとは平良(海馬)さんの自主トレでスロー映像を見て、スイーパーならどういう切り方をしているとか、カットボールなら押し出すイメージとか。トップレベルの選手、結果を出している選手が気にしているので、やっぱり気にしたほうがいいのかなと思いました。その話にすごく説得力があったので。自主トレでかなり変わりましたね」
その数カ月後、入団3年目でブレイクを果たす。最初のきっかけは、昨季中盤に現在の投球フォームへと切り替えたことだった。
ちょうどその頃、先発から中継ぎへの転向も経験した。試合をつくる役割から、1イニングを無失点で抑える仕事へ。配置転換が大きな転機となったのは間違いないが、本人はそれを"外的な変化"として捉えている。
「それで何が変わったんですかね? よくわからないです。ちょうどフォームを変えたのが、中継ぎになるタイミングだったんですよ。(たまたま一致しているのは)本当に運がいいなと思いますね」
今季の飛躍は、投球フォームの変更、配置転換、そして平良から学んだ発想などが重なった結果、自身でつかみ取った成長と言える。
【今後投げてみたい変化球は?】
オールスターまでの今季27試合に登板し、自責点&黒星を喫したのはわずか一度。その時の反省を、以降の好投につなげている。
5月31日、ほっともっとフィールド神戸で行なわれたオリックス戦の延長11回。山田はこの回からマウンドに上がり、わずか4球で2アウトを奪ったあと、つづく野口智哉への2球目のツーシームをレフトスタンドに運ばれ、サヨナラ負けを喫した。
「2アウトを取っていたので、ヒットはOKくらいの気持ちで、どんどん(ストライク)ゾーンに投げ込んでいました。あそこからボール、ボールと外してしまうのもよくないと思っていましたし、攻撃につなげるためにもリズムよく終えたかったんです。イケイケだっただけに、それを押し返されたという感じですね。あの場面のことは、今でも2アウトを取った時に思い出します。『ここでしっかり集中して抑えよう』と、自分に言い聞かせるようになりました」
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