星野伸之から見たオリックス岸田護監督の采配の特徴 投手起用に長けた一方、課題は? (3ページ目)
【雰囲気づくりは「相変わらず上手」】
――岸田監督の"カラー"に関してはいかがですか?
星野 先ほどお話したように、ピッチャー出身の監督ということもあってピッチャーの起用法は長けていると思います。ただ、野手の起用に見られるように、基本的には中嶋監督の選手起用を継承している部分が多いのかなと。それと、水本勝己ヘッドコーチをはじめ、コーチの意見をしっかりと聞いたうえで選手起用を判断していると思いますし、そういう意味では自分のカラーはあまり出していませんよね。逆に言えば、そこが特長なんじゃないですか。
あと、ベンチ内の光景で微笑ましかったことがあって。たしか、岸田監督がリクエストで初めて成功した時だったかな。「ありがとうございます!」とすごく低姿勢に頭を下げたんです(笑)。おそらく、リクエストをずっと失敗していたんですよ。岸田監督らしいな、と思って見ていました。そういう雰囲気づくりは相変わらず上手だなと思います。
――星野さんが以前お話されていましたが、岸田監督は選手時代もコーチ時代も兄貴的な存在だったそうですね。
星野 岸田監督は選手時代にリーグ優勝を経験できなかったのですが、コーチ時代に優勝できた時に、平野佳寿や比嘉幹貴が近寄って一緒に喜んでいたんです。コーチなんだけど、選手みたいな扱いをされていて(笑)。その姿を見て、人徳かなと思いましたし、そういった部分もあって監督に抜擢されたような気がします。
チームとして、前半戦は及第点の出来だったと思いますが、反省点も多々あるはずです。正念場はここから。故障者が増えてきているなか、どんな選手起用と采配を見せてくれるのか注目しています。
【プロフィール】
星野伸之(ほしの・のぶゆき)
1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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